
(国研)国際農林水産業研究セン ター
■ 専門分野 農業経済、中国農業・食料経済
1994年 東京大学大学院農学系研究科博士課程 修了
1995年 科学技術振興事業団 科学技術特別研究員
1998年 農林水産省 国際農林水産業研究センター 海外情報部 研究員
1999年 農林水産省 国際農林水産業研究センター 海外情報部 主任研究官
2001年 独立行政法人 国際農林水産業研究センター・国際情報部 主任研究員
2005年 東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻連携併任
2006年 独立行政法人 国際農林水産業研究センター・国際情報領域 プロジェクトリーダー
2011年 現職
中国出身ということもあり、中国の農業問題、食料問題を取り組んできました。周知のように、中国は世界最大の食料生産国と消費国であり、食料需給の変動は世界の食料市場への影響が大きいです。食料需給は政策、価格、生産環境(土地、水、気候)、消費嗜好等に左右されます。社会科学の研究は時代のニーズ、問題の影響力などを考慮する必要があり、これまで中国に関しては、米などの主要食料の需給や流通構造、経済発展に伴う食料消費パターンの変化(コメや大豆、乳製品、肉類などが対象)、FTAと国境地域の農家経済変化、畜産と飼料の需給動向、農業労働力の過剰就業問題等の研究を進めてきました。近年特に中国東北部のジャポニカ米の需給動向と米の需給予測分析、ミルクの需要問題に焦点を当て研究分析を行ってきました。また、アフリカの食料問題を解決するために、ナイジェリアのササゲの消費嗜好の研究についても取り組み始めています。
1.食料需給モデルの研究:部分均衡分析を用いる食料需給予測モデルを中心に、中国全体のコメの需給予測分析、ジャポニカ米の主産地である黒龍江省のコメの需給予測分析を実施し、中期的に中国のコメ需給動向、貿易動向、価格動向を示し、食料需給の方向性を解明しています。また、トウモロコシの省別モデルを開発中で、気象要素も考慮に入れたモデルを構築しています。

農家の聞き取り調査(雲南省)

米の流通加工調査(遼寧省)
2.貧困地域の農家経済についての研究:農家所得の向上が貧困地域の農家に取って重要な問題であり、近年FTAなど地域の統合が進み、国境地帯に暮らす貧困地域の人々の生活に及ぼす影響について、農家調査を通じて、土地・労働力の利用変化、農家所得の状況を解析しています。
3.消費者嗜好の研究:中国には都市と農村の格差が存在し、消費のギャップが生じています。消費パターンの変化、ミルク消費、食品安全性に対する態度など幅広く消費者調査を実施し、定量的な手法で分析を行ってきました。また、貧困地域の食料の付加価値を高めるために、アフリカのナイジェリアでササゲの消費者嗜好性の研究調査を開始しています。

ササゲの選別(ナイジェリア、カノのマーケット)