アジアでは人口増加と経済発展に伴って、食料とエネルギーの需要がますます高まっています。食料生産量の増加は、飢餓の軽減に貢献しましたが、窒素による水汚染や、土壌の劣化、水資源の枯渇といった問題を引き起こしました。一方、エネルギー生産の増加は、生活の利便性を大いに高めましたが、大気や土、水を汚染して、人間の健康だけでなく、自然植生や農作物の生長を阻害しつつあります。人口増加と経済発展が今後さらに進むと、最悪の場合には環境も食料も損なわれる恐れがあります。そうした事態を技術開発だけで解決することはできないにしても、研究によって食料と環境の現状を正確に把握し、将来の危険を的確に見通すことができれば、社会全体として適切な回避行動をとれるでしょう。私は、現地調査と圃場実験での観測、そして農業生態系シミュレーションモデルの開発を主体として、農学と生態学、生物地球化学を融合した研究を進めています。