司会者による開会の挨拶、講師の紹介に続いて、今回の講師である荒木徹也氏(日本大学国際関係学部研究員)が30分ほど講演をされました。
講義のスライド | PowerPoint, 96KB(写真抜き) |
予備知識(勉強会のフィードバック) | MSWord, 121KB HTML, 4KB |
続いて講演に関する質疑応答が行われ、荒木氏と参加者の間で活発な意見交換がなされました。
Q.「ライフスタイルの飛び地」の具体例とは? |
例えば週末のゴルフ仲間。ボランティアをやろうという考えにはなかなかならないのでは。 |
Q. 「ネットワークに関する意識調査」で有効票が少ないのはなぜ? |
40個の項目から5個を選べという制約が厳しかったのでは。 |
Q. 「小規模NGOの限界」について、このようなNGOは資金拡大を考えていないのか? |
そういう選択肢もある。だが、資金だけ大きくなっても人手と時間が限られていては適正に使用できない。人材育成にも問題があると思われる。 |
Q. 「移動式小型冷凍機」について、どのような冷凍庫を使ったのか? |
普通の冷蔵庫についているような小さくて黒い箱型のものを用いた。 |
Q. (上の続き)実際に現地に行った時には果物の露天商は氷を果物と一緒に置いていた。この方がコストが低いのでは? |
確かにそうである。ただ、屋台を作るプロセスに子供が関わるという職業訓練的な意味もある。 |
Q. (上の続き)屋台ではなく氷調達ででも子供たちに意識を植え付けるのは可能では? |
問題は一歩手前にある。ストリート・チルドレンは現在はビジネスをせずその日暮らしでやっていけてしまうが、一生は続かない。よって、方向転換をさせる手段として行っている。確かに氷の方がいいという考えもあるだろう。また、そもそも何日間も果物を持たせる必要はないのかもしれない。 |
Q. 「ネットワーク」の具体像が見えてこない。「対抗的相補性」や「アメリカ式個人主義」との関係は? |
「対抗的相補性」で示したのはあくまで極限的な状況であり、現実にはそれらが合わさっている。「アメリカ式個人主義」や「ライフスタイルの飛び地」も極端なモデル。現実のネットワークとは「ライフスタイルの飛び地」と「共同体」の中間に位置する。 |
Q. 「文化に内在する限界」への自分なりの答えはあるのか? |
限界への挑戦である。近年は異文化理解が避けられない状況にあり、時間がかかるがやるべき。 |
Q. 文化が異なるがシステムは同じ、ということはありえないのでは? |
その「ありえない」というのも価値観の一つ。たしかに現在は経済価値第一という考えが世界標準になっているが、これが様々な問題を引き起こしている。この問題は無くならないだろうが新たな仕組みで緩和はできる。それが異文化理解にも役立つのでは。 |
Q. NGOネットワークがなかったら問題はあるのか? |
ネットワークは意識しないでも存在する。例えば顔見知りというものネットワークの一つである。よって、人とのつながりがうまくいくかという視点で考えている。 |
Q. (上の続き)情報交換・意見調整が問題なのか? |
特に質が問題である。損得勘定で情報交換をしているにすぎないこともある。 |
Q. 教育支援のNGOの問題は行政の未熟さにあると考えてよいのか? |
教育省の汚職・基本方針欠落・役所間の連絡なしといったものなど、日本にもできていないこともある。むしろ行政に不足があるからNGOが活動できることもあるのでは。 |
その後、国際開発フォーラム代表である大城早苗(9類4年)の司会のもと、参加者の自己紹介・ネットワーキングに関する議論などが、閉館のアナウンスをものともせずに行われました。
最後に、9類の専修担任でフォーラムの顧問である相良泰行教授(東京大学農学生命科学研究科)の挨拶が行われて閉会となりました。
20時から場所を農学部7号館235教室に変更して行われた懇親会には、多くのフォーラム参加者の方がご出席くださいました。和やかな雰囲気のなか、楽しく、そして有意義な会になったことと思われます。
今回のフォーラムの開催に当たっては議題の選定、時間配分などに多くの改善の余地を残しましたが、今回の反省点は第2回フォーラムをはじめとする今後の活動に最大限生かしてゆく積もりでおります。ご多忙のなか御講演いただきました荒木さん、ならびにご来場いただいた皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。次回も皆様の御参加を心よりお待ち申し上げております。
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