第2回勉強会
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◆"市民社会(Civil Society)"の基本類型 ★図1参照

  • 横軸・・・私的利益を追求するか,それとも"協同的"な関係形成を重視するかという観点(構成主体の指向性)
  • 縦軸・・・国家と"市民社会"の関係性をどの程度強く想定するかという視点(国家との関係性)
  • 奥行き・・・"市民社会"と民主主義との親和性をどの程度強く想定するかという視点(民主主義との親和性の想定)

  • この三つの軸から分けられる8空間による類型化

  • A,B,C,Dの4空間は力点の置き方の相違


  • A…自由主義経済の下でこそ,国家から自律的な結社形成が促されるという見方.ヘーゲル,グラムシの議論が基礎.新自由主義.
  • B…民主制の下における市民の自治能力を強調する見方.トクヴィルの議論が基礎.民主主義における自発的結社の役割を評価
  • C…「市民社会」は国家が覇権獲得に向けて示す野心に対抗する能力として理解される
  • D…権威主義体制を維持してきた国家に対して批判,抵抗する勢力を重視する見方.例えば,民主化の"移行"過程における"市民社会"の再興の議論で典型的


  • E,F,G,H は,規範と現実のどちらを優先するか,という問題に関わる(市民社会論に含めるか論争あり).


  • E…よりインフォーマルな経済活動を行なう集団(密輸など)
  • F…国家との接点をもたないインフォーマルで小規模な活動を展開する集団.
  • G…大掛かりな経済犯罪に関わる集団(マフィアなど)
  • H…エスニシティーや宗教のような特定の価値をもとにした一定の規模を持つ集団活動.


  • ◆"グローバル・シビルソサエティー(GCS)"論について

    ・環境分野を中心に見るワプナーは,"グローバル市民社会"とその意義,役割を次のようにとらえる.

    "人々が,特定の国家における市民としての役割を超えた関係を形成し,特定国にとらわれないアイデンティティーの諸要素を発展させる脱国家的な領域であり,それゆえに利己的な国家中心の国際システムを横断し,真に脱国家的な,公共利益に資する活動を行いうる領域である.そして"グローバル市民社会"から現れる諸活動は,国家中心の政治に由来する様々な障害を克服する見通しをもつものといえる."

    ・市場経済の主導するグローバル化を"上からのグローバル化"とし,それに対置,あるいは対抗する"下からのグローバル化"の担い手とする考え方ともいわれる.

    このGCSについての批判的検討は別途資料で説明する.

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    2004/6/4現在