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東京大学 大学院農学生命科学研究科
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間 陽子(あいだ ようこ)

間 陽子 (あいだ ようこ)
■ 名 前
間 陽子(あいだ ようこ)
■ 所 属
国立研究開発法人理化学研究所 伊藤ナノ医工学研究室
分子ウイルス学研究分野
http://www.riken.jp/lab/virus/
■ 経歴
1985年 北海道大学大学院獣医学研究科博士課程修了(獣医学博士)
1985年 学術振興会特別研究員
1986年 理化学研究所 安全評価研究室 研究員
2001年 同 分子ウイルス学研究ユニット ユニットリーダー
2007年 同 分子ウイルス学特別研究ユニット ユニットリーダー
2017年 同 伊藤ナノ医工学研究室 分子ウイルス研究分野研究員(分野総括)
2008年 東京大学大学院 客員教授
■ 専門分野
ウイルス学、獣医免疫学、分子疫学、ワクチン研究、抗ウイルス薬研究
■ 研究関心
ウイルス感染症から動物と人の命を守る!!
 21世紀は人類がその存亡をかけてウイルスと戦う世紀です。現在、世界の死亡原因の約3割が感染症であり、今後その割合は急上昇する恐れがあります。近年、SARS、エボラ出血熱を初めとする新興ウイルス感染症が次々と現れているからです。当研究分野では、新興ウイルス感染症であるヒト免疫不全症候群(エイズ)の原因であるヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-1)、成人T細胞白血病の原因である成人T細胞白血病ウイルスおよびそれに近縁の牛白血病ウイルス(BLV)の完全な制御システムの確立とこのようなレトロウイルスで得られた新知見をインフルエンザウイルスの制圧へと応用展開することを目指しています。
 理化学研究所は、日本で唯一の自然科学の総合研究所です。物理、化学、工学、計算化学、生物学、医学などの広い分野を対象とした異分野研究者の集合体であり、未知の知識、技術や発想との出会いにより新たなる科学分野を創造するチャンスが目の前に大きく広がっています。実際に当研究分野は、獣医学、農学、薬学、医学、医科学博士を持った異なる専門分野を得手とする研究員と技術員が個性を発揮・刺激しあって、ナノ、インシリコ、ケミカルバイオロジー、分子イメージング、構造科学、ゲノム科学などの研究者と連携しながら、独自に発見した新知見を実用化まで展開してウイルス感染症を克服したいとの心意気で一致団結して日夜研究に励んでいます。
■ 研究例
・全世界に蔓延するBLVによる白血病発症機構の解明とその制御方法の確立
当研究分野は、1982年以降、一貫してBLVの研究を行ってきました。当初は大きな問題として認識されてこなかったBLVは、近年国内外で爆発的に感染率が上昇し、大きな経済被害を与えています。当研究分野では、独自に発見した白血病発症に感受性と抵抗性を示す主要組織適合抗原(MHC) 遺伝子を利用した、①白血病発症抵抗性種雄牛の作出による育種戦略、②発症しやすい感受性牛に特に効果の高いワクチン開発、③抵抗性/感受性牛の判別技術を応用した新しいBLV清浄化プログラムの構築、などの牛白血病制圧戦略に取り組んでいます。また、日本初のBLV遺伝子診断薬・BLV-CoCoMo-qPCRを製品化し、従来の抗体検出系では判定できなかった6ヶ月未満の仔牛のBLV感染の判定や陽性牛の感染伝播リスクの高低を識別化するためのツールとして利用できます。ワクチン開発では、スーパーコンピューターを用いたインシリコ技術を駆使した抗原設計や、不活化ワクチンに加えて細胞性免疫および液性免疫を強く誘導する生分解性ナノ粒子である炭酸アパタイトやウイルス様粒子などのワクチン・デリバリー技術を応用する事で、世界初のレトロウイルスワクチンの製品化を目指しています。

・HIV-1によるエイズ発症機構の解明及び創薬研究
エイズの原因ウイルスであるHIV-1は、レトロウイルス科の中でも特に高度に進化していて、レトロウイルスに共通な構造遺伝子であるgag、 polおよびenv以外に、調節遺伝子であるtatとrev、さらにアクセサリー遺伝子であるnef、vpu、vpr、vifを有しています。中でもvpr遺伝子産物は核移行・転写活性化・細胞周期停止・アポトーシス・スプライシング阻害などを行う多機能蛋白質で、特にHIV-1の潜伏化を担う非分裂性リザーバー細胞において重要な役割を担っています。当研究分野ではこのVprに焦点を当て、vpr遺伝子産物と相互作用する新規細胞内因子の同定と作用機構の解明を通じて、未知の複製機構の解明とそれを標的とした新規複製阻害剤の開発を行っています。

・インフルエンザウイルスの複製機構の解明と創薬研究
既存の抗インフルエンザ薬では既に耐性ウイルスの出現が報告されている。当グループでは、ウイルス内部の蛋白質である事から、従来薬剤標的とされてきたインフルエンザウイルスの外膜タンパク質M2やノイラミターゼに比較して亜型間の保存性が高いNucleoproteinを標的にする事により、多くの亜型に有効で、耐性化にも抵抗性を示す新規阻害薬の開発を目指しています。

フィリピンでの採材風景 アルゼンチンでの採材風景

国際共同研究を展開し、アルゼンチンラプラタ大学、フィリピンカラバオセンター、米国ミシガン州立大学、米国ワシントン州立大学、中国ハルビン獣医研究所やミャンマー獣医大学とはBLVとその疾患感受性遺伝子の世界的な分布調査やワクチン開発を、オーストラリアモナッシュ大学とはエイズ、インフルエンザの創薬開発を進めています。

実験室風景 セミナー風景

 
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