途上国の厳しい環境条件で作物の生育制限要因を取り除いて生産性を上げ、農家の生活向上に資することを大きな目標としています。そのために、植物が難可給態のリンや窒素を利用する「養分獲得」能力や、酸性土壌・鉄過剰土壌等のストレス土壌に対して持っている抵抗性について、その種間差、品種間差の機構を解明して育種の基礎知見としていくことを追求してきました。一方で農家に直接還元できる作物・土壌管理技術の開発にも関心をもち、問題を圃場から抽出し、新技術を現場の技術体系に徹底して位置づけ、有用なものにしていこうと研究を進めてきています。地理的にはインド、南米等を対象としてきましたが、ここ10年ほどはアフリカを対象とすることが多くなってきました。これらの研究は国際農業研究協議グループ(CGIAR)傘下の国際研究所との連携で行ってきました。またもっとも身近な国内の圃場あるいは農家レベルでの農業技術問題にも積極的に関わっていきたいと思っています。
定着遊牧民からの聞き取り調査(ニジェール)