専修ガイダンス Q&A(抜粋・要約)2022~2020
文科3類からの進学を希望しています。学んでおいた方がよいことについてアドバイスをお願いします。(2022)
例えば、「農学入門(養賢堂)」や農学部図書館の「農学部の先生から学生へのおすすめブックリスト」にある書籍などを参考に、農学について全体的に理解しておくと、3年生になってからのそれぞれの授業が、農学の中でどのような位置にあってどのような意味があるのか分かって良いかと思います。また、文系ではあまり学ばない、統計などのツールについても触れておくとよいかもしれません。
実習の多さが魅力の一つだと思いますが、経済的な補助等はあるのでしょうか?(2022)
国内実習の交通費、宿泊費などの補助はありません。交通費については安い切符を利用する、バスを利用するなどで節約しているようです。宿泊については大学の宿舎などを利用し、できるだけ費用のかからないようにしています。海外実習についてはトータルでは20万円くらいの負担になりますが、これまでは『東京大学農学国際交流事業による「学部学生海外実習等補助費」』から3万円の補助を受けています。
数学も結構必要となるのでしょうか?ついていける自信がありません。(2022)
確かに統計や検定、また分野によっては複雑な計算式がでてくることもあります。しかし、必修の情報処理演習などでは、ソフトを使ったり、またその使用法も説明しますので、自分自身が手計算をする必要はありません。解析手法選択では、自分自身がどこに着目するかがまずは必要であって、その着目すべき点を見出す能力の方が重要なのかと思います。
卒業研究のスケジュールやイメージがまだ掴めてはいないのですが、就活する人は4~6月で集中することができるでしょうか?(2021)
研究のテーマにもよると思います。例えば稲の研究をする場合はどうしても春の時期に行うべき作業があるので、研究の時間を準備することも必要です。具体的には、研究室に配属される際に、先生との相談になると思います。
資源・環境問題などを扱う授業、研究室はありますでしょうか?(2021)
どこの研究室においても、持続可能性や、資源環境問題を扱う研究が見受けられます。同じ資源・環境問題であっても、そこには多角的な視点や、様々なアプローチがあります。そういった多角的視点で研究に臨みたい方には本専修はお勧めです。
専修を卒業後、海外の大学院に進学された方に質問なのです。早い時期から英語の勉強をされていたとのことですが、海外大学院への進学を考え始めたのはどのぐらいの時期でしたか?(2021)
大学院への進学は3年生くらいでした。英語の勉強などを始めたのもその時期です。海外経験がなく、帰国子女でもなかったのですが、専修で幅広い知見と態度を身に着けることができたことが、大きかったと思います。
コロナ禍における海外の実習やキャンパス内での実験が、実際どれくらい行われる可能性があるのかを知りたいです。(2021)
どこの専修も同じ状況下ではあると思いますが、海外の実習については、現地の新型感染症の状況によるので、国内の実習よりも難しい可能性が高いと考えられます。
例えば実習地が都内になっている田植えや稲刈り等については、十分に気を付けながら、できるだけ対面でできるように準備をしています。また、弥生キャンパスで行う実験についても、講義の種類によりますが、できるものは集まって行うことを目指しています。教員側としては対面実施で講義や実習を行う効果を重々分かっているので、できるだけ専修の皆で集まる機会を作っていきたいです。
農学部はセメスターの構造が違いますが、Wタームもかなり授業が入っていますか?(2021)
Aセメスターが終わった後に入っているWタームですが、国際開発農学概論という授業のみが必修で実施されます。金曜日の3~5限を使って行われる講義で、論文の読み方・書き方、プレゼンの方法を学んでいくという、4年に進学する前に実践的なスキルを身に着けてもらうものです。講義は2月の中旬くらいまでで終了します。
農学共通科目、農学リテラシー(2年生の科目、A2の集中講義)はいつ開催されますか?(2021)
1月の終わりに開催されます。
専修専門科目で英語で書いてあるものが見受けられたのですが、どういったものですか?(2021)
農学国際専攻にIPADSという英語のプログラムがあり、秋学期から開講している講義です。専修の学生でも希望者は受講することが可能です。基本的に全部英語で行われる大学院の授業ではありますが、専修の学生がついていけない範囲ではありません。やる気のある学生さんは、ぜひ積極的にこの講義の先取り制度を利用してください。
文系からの進学者の底点は年によってかなり違いますか?(2021)
文系枠というわけではなく、全科類枠で、第一段階で単位数75で、点数は平均くらい。経験としては、第二段階で行く人は、単位数関係なく、点数のみ80点近くはとっていたと聞いていたので、点数=80点×単位数は取れるだけとりました。単位数を稼ぐのは良い戦略だと思います。例えば「農学を知る」のような授業をとって、農学の基礎を身につけながら単位取得するのがお勧めです。
就活についての質問です。こちらの専修では比較的大学院に進学される方が多いように見えるのですが、就活を考えている人達は、結構早めに考えているものでしょうか?それとも、院に行くのと並行して考えていますか?(2021)
最近の代であれば、就職と院を両方見ている人も多い印象です。就活ガチ勢はそんなに多くないかもしれません。就活をガチりたい人はガチれる環境だと思いますし、逆に最後まで悩みたい人も悩める専修であると思います。
就活をする人は、卒論はどういう形で取り組むのが一般的ですか?(2021)
卒論は、就活終わってからという人もいます。ただ、こればかりはテーマによるかなと思います。植物などに関するテーマの人は、播種の段階くらいから見ていく方が良いので、春にも就活しながらも研究を進める形になると思います。逆に就活のキリをつけてから研究に専念できるテーマもあるので、配属になる研究室の先生とよく相談してください。
留学の人の割合について情報があれば教えていただきたいです。留学先でどのような分野を学ばれているのかも、もし情報があれば教えてください。毎年の進路の中で、海外の大学院に進まれる方の割合は高いものなのでしょうか?(2021)
留学される人の人数は年に1~2人程度。研究室によっては研究のために海外に行く可能性もあります。留学される方はだいたい研究室の分野で学ばれることが多いです。これは研究室の先生の繋がりで留学先を決めることが多いからです。学生さんの中で、海外に興味のある方、国際活動や短期間のインターンシップなどで行ってみたい等のサポートは可能です。
国際交流促進プログラムなどもあり、専修・専攻内ではそういった機会の情報が多く流れます。また、教員が国際的な活動に関わっている割合が高いので、臨機応変にバックアップできる可能性は高いと考えられます。
国際関係などに興味があるのですが、そういったことを学ぶことができる研究室はありますか?(2021)
この専修は、より実践的・国際的な現場で、農業に関わる事業や、開発、研究を行う先生が多く所属されていらっしゃいますので、国際関係についても学ぶことができる機会は多いと思います。どちらかというと現場からの視点から課題や問題を見ていくことになると思います。
去年と今年は、どれくらいフィールドの活動が行われていますか?(2021)
去年は牧場実習のみが実施できました。今年は、コロナの状況を見ながら、対面でできそうなものはやっていくという状況です。来年、今の2年生の皆さんが進級される際には、ワクチン接種なども終わっていると思いますので、実習や実験、フィールド活動を行うことができる可能性は高いと考えられます。
実習の具体的時期・費用負担についておしえてください。(2020)
時期はSPタームが中心で4日間程度です。費用負担は実習によって異なりますが、施設使用料(宿泊費・食費込み)1~2万円程度、交通費が1万円弱です。選択の海外実習(ベトナム)は11万円程度かかりますが、学部からの補助が3万円程度ありました。
自分は動物上皮アレルギーがあるので牧場実習が少し心配です。動物と必ず触れ合わなければなりませんか? (2020)
アレルギー等がある場合は無理ない範囲で、あるいは代わるプログラムにより実施します。事前にご相談ください。
他の専修でも実習や、国際的な学びの機会があると思うのですが、国際開発農学専修の特色をおしえてください。(2020)
国際開発農学専修はミニ農学部のようになっていて、実習も農場、森林、臨海、牧場、海外と様々なフィールドに赴くことができるのが特徴です。多分野と比較しながら自分の専門となるフィールドを考える素養を身に着けることができるのが特色です。また国際機関や国際開発の現場に繋がりが強いのも国農の特徴です。
農業と経済的なものも学べるのでしょうか。(2020)
農学各分野に社会科学的アプローチがありますが、とくに経済的アプローチを主要テーマとしている研究室があります。
研究内容が国内のことになる例もあるのでしょうか。(2020)
一見、国内を対象としているように見えながら「国際」に迫るスタンスからの研究、国内の事例やしくみを明らかにすることではじめて国際を論じることが可能になる研究があります。そのようにもはや「国内」「国際」の区別が意味をなさないスタンスの研究があります。
学問分野が広くて専門性が失われることはないのですか? (2020)
4年以降、研究室に所属して、そこで専門的な研究に携わります。専門性を身に着けることが、俯瞰的な視野を持つために必要だからです。大学院に進学すれば、副専攻という制度で他専攻の研究室にも所属して、より専門に特化した勉強をする機会もあります。
英語が得意な方でなく心配です。必要とされる英語力の基準などはありますか。(2020)
駒場の必修をパスしていれば、専修の必修英語については心配ありません。英語力については、4年以降は研究室に所属して、ゼミや日常生活を通じて、留学生と話したり研究内容を英語で議論したりする機会が増えるので、使いながら自然と身に付きます。多数の留学生が履修している大学院開講授業を受講して、さらに英語力を強化する学部生もいます。
化学基礎までしかきちんと勉強できていないのですが、大丈夫でしょうか。(2020)
大丈夫です。研究生活に入り、必要が生じたときには、目的意識をもって効率的に学ぶことがしやすいですので、十分追いつけます。
学部・修士で留学する人の割合や、滞在先について教えてください。(2020)
学部生では平均1学年1~2名くらいが語学習得を主目的とした留学を、大学院以降ではおよそ1/3ほどかと思われますが研究テーマの遂行のために半年~年単位で海外に滞在する学生がいます。滞在先は欧州、豪州、アフリカ、東南アジア、米国等、さまざまです。短期では、アメリカの農業IoT機器メーカーで3か月インターン、フランス物質科学研究所で実験のために2週間滞在、そのほか国際学会で研究成果発表のために1週間程度滞在、など多数例があります。
留学の方法について教えてください。(2020)
卒業生の進路を教えてください。(2020)
専修ホームページの「卒業後の進路」が参考になるかと思います
将来、国連食糧農業機関(FAO)をはじめとする農業に関わる国際機関で働きたいと考えています。その場合、法学部や経済学部などへ進学するのと、国際開発農学専修をはじめとする農学部に進学するのと、どちらが有利でしょうか? (2020)
私の経験からの回答は以下のとおりです。どの学部が有利かは、国際機関といってもいろいろあり、どの機関でどのような仕事をしたいかによると思います。FAOに行って農業開発に興味があるのであれば、農学部がいいと思います。同じ国際機関でもFAOなどは世界各地でフィールドプロジェクトを実施していますので、本部で働きたいか、フィールドで働きたいかにもより、生かせる専門分野は異なってきます。むしろ、最初から有利な学部を選ぶより、自分の興味のある専門分野がある学部、大学院に進んで、その専門分野を生かせる国際機関にいくというのが常とうかと思います。いずれにせよ、私が知っている限り、国際機関は新卒の採用はしてくれません。国の政府機関での実務経験があるか、博士号を取得して国の研究機関やフィールドでの経験がないと採用してくれません。自分の専門分野をある程度極めるということが重要かと思います。ちなみに、私は農学部畜産獣医学科(現在の獣医学専修)を卒業し、農水省に就職し、2回派遣職員として国際機関に勤務しました。FAOとOIE(国際獣疫事務局)のいずれも本部で、情報収集、国際基準の作成、会議の開催といった地道な業務をしました。農学部キャンパス内にOIEのアジア太平洋地域事務所があります。ここを見学するのも国際機関のイメージがわくかと思います。ご要望であれば、紹介します。(杉浦教授)
国際機関はプロフェッショナルな人材を求めていますから、最低で修士、できれば博士の学位が必要です。農学などの技術的な分野で修士以上の学位を取得し、irrigation specialistとか、forestory biologistとか、fisheries economistとか、environmental economistとか、livestock specialistなどと名乗れる学歴を持つ日本人(スペシャリストの肩書きは自分で名乗るだけで良くて仕事の内容はジェネラルなものであってもよい)は入りやすいでしょう。農学国際専攻の卒業生では、博士取得後に国連機関に直接採用された人や、修士などを取得した後に国家公務員の道に進み、若いうちから国連機関に出向した人もいます。一方、法学や経済学でも、修士以上の学位を取得して、lawyerやeconomistと名乗って仕事をする道はあります。この場合も、国際的にその分野でプロフェッショナルであること(というかプロフェッショナルを名乗れること)が重要です。余談ですが、日本で国家公務員の管理職以上のポジションにあった法学部卒の優秀な日本人が、FAOのシニアポジションにアプライしたが、学士しか持っていなかったため書類選考で落とされたという話を聞いたことがあります。ライバルとなる外国からの応募者は、chief liternational lawyerとかsenior economistなどと名乗れる学歴と実績を持つ人が多かったのではないかと私は推測しています。(八木教授)
外務省国際機関人事センターのホームページも参考になると思います。そこには、「国際機関で働こう」というパンフレットもあります。また海洋アライアンス(海洋学際教育プログラム)では、国際機関に興味のある学内の学生さんを対象に以下のような講演会を毎年開催しています(昨年の講演会)。今年度は開催のアナウンスはまだされていませんが、こちらも進路を決める参考になると思います。
当方がUNDPで3年間働いた経験からご回答いたします。
〇国際機関のキャリアパスには(A)(B)のパターンがあり、双方にメリット、デメリットがあります。
(A)博士号等を取得して、irrigation specialistとか、forestory biologistとか、fisheries economistなどの専門家としてプロジェクトを渡り歩くタイプのキャリア。
(B)修士号の学位を取得して、国連の中でジェネラリストとして1つの組織で出世していくタイプのキャリア。
(A)では、類似のプロジェクトを世界各国で運営しながら、2-3年で他のプロジェクトへと移っていきます。終身雇用ではなく、多くの場合2-3年の任期付き雇用ですが、自分の博士号を取得した専門性を生かせるキャリアで、環境政策などの実践の最前線に立てる職種であると言えます。また、多くの場合、このような職種の人々は、ネットワークを持っており、国際機関や大手のNGOを渡り歩いていきます。
(B)ではプロジェクトを立ち上げ、運営管理し、経理を担当し、広報などの広範囲の分野を担当しつつ、1つの組織で研鑽を磨いていきます。博士号を取得しても多くの場合、自分の博士号とは関係のない専門外の分野で働くことを余儀なくされます。
〇国連機関の登竜門としては下の1, 2, 3があると考えております。
1. JPO (Junior Professional Officer):日本政府が給料を出して、国際機関に人を派遣するというもの。日本の場合2年間派遣が原則だが、3年まで延長が可能。英語力と職歴が求められる。(詳細は<こちら>)
2. YP(Young Professional):国連本部が実施する採用試験のようなもの。特定の分野が毎年発表され、受験することができる。職歴はなくても受験可。高い英語力とフランス語力が求められる。ただしその採用者は、国連事務局や各地域の社会経済員会などにしか派遣されない。
3. UNV(UN Volunteer):国連の海外青年協力隊のようなもの。ボランティアとなっているが給料は支払われる。ただし国連職員としての身分は与えられない。UNV採用には、職歴が必要不可欠。(石原助教)
〇国際機関のキャリアパスには(A)(B)のパターンがあり、双方にメリット、デメリットがあります。
(A)博士号等を取得して、irrigation specialistとか、forestory biologistとか、fisheries economistなどの専門家としてプロジェクトを渡り歩くタイプのキャリア。
(B)修士号の学位を取得して、国連の中でジェネラリストとして1つの組織で出世していくタイプのキャリア。
(A)では、類似のプロジェクトを世界各国で運営しながら、2-3年で他のプロジェクトへと移っていきます。終身雇用ではなく、多くの場合2-3年の任期付き雇用ですが、自分の博士号を取得した専門性を生かせるキャリアで、環境政策などの実践の最前線に立てる職種であると言えます。また、多くの場合、このような職種の人々は、ネットワークを持っており、国際機関や大手のNGOを渡り歩いていきます。
(B)ではプロジェクトを立ち上げ、運営管理し、経理を担当し、広報などの広範囲の分野を担当しつつ、1つの組織で研鑽を磨いていきます。博士号を取得しても多くの場合、自分の博士号とは関係のない専門外の分野で働くことを余儀なくされます。
〇国連機関の登竜門としては下の1, 2, 3があると考えております。
1. JPO (Junior Professional Officer):日本政府が給料を出して、国際機関に人を派遣するというもの。日本の場合2年間派遣が原則だが、3年まで延長が可能。英語力と職歴が求められる。(詳細は<こちら>)
2. YP(Young Professional):国連本部が実施する採用試験のようなもの。特定の分野が毎年発表され、受験することができる。職歴はなくても受験可。高い英語力とフランス語力が求められる。ただしその採用者は、国連事務局や各地域の社会経済員会などにしか派遣されない。
3. UNV(UN Volunteer):国連の海外青年協力隊のようなもの。ボランティアとなっているが給料は支払われる。ただし国連職員としての身分は与えられない。UNV採用には、職歴が必要不可欠。(石原助教)